「坂口君、大丈夫?」

扉から顔を出したのは
橋本先生だった。

「は、橋本先生?!

なんで。」

「みんなを送ったので、ハァ
戻ってきました。ハァハァ」

「そのまま帰ってよかったんじゃ…」

「でも、心配だったから。ハァハァ」

「それで、
走って帰ってきてくれたんですか?
俺の、為に?」

「う、うん。」

昼は暑かったけど、
まだ6月、
この時間には寒くなる。

蒸気して赤くなった顔で
「俺の為」とか。
いや、先生が言ったわけではないけど、

「おせっかい。
だったかな?」

「そんなわけっ、
全然。無いです。

むしろ、嬉しい、です。」

「なら、良かった。」

やっぱり、
笑顔がかわいい。