大好きだから、幸せになって。

「今日、大事な試合なんだよね。」
菅野先輩が先に口を開いた。

「坂口先輩、
先、アップ、してますね。」
後輩たちは気を使ってくれた。


「あの、なんで?」
俺はやっと言葉を発した。

「先生に、聞いたんだ。」
「あ、ああ」

「言わないで、くれたんだね。

な、んで?

坂口君、泣いてたから、
てっきり、もうダメなんだと。」

「俺、
多分まだ先輩のこと好きです。

だから、先輩には、
泣いてほしくないんすよ。

この気持ちを引きずってちゃ
ダメだってわかってますから。

好きな人としては
ちゃんと忘れます。
でも、

尊敬する先輩としては
ずっと忘れないでいて
いいですか?」

「私なんかが尊敬されるの?」
先輩はそう言って柔らかく笑った。

「ありがとう。」
と、優しい俺の大好きな笑顔で
言った。