今日もどんより雲が夜空を占める。


遠慮がちに浮かぶ月は


儚く美しい。


灯を消したまま君は今日も扉を開ける。


『サヨナラ』


またねと言えなくなったのはいつからだろう。


いつも一番は重くて嫌だった。


でも誰かの次は苦しいね。


君に恋して初めて知った。


君の最愛になる自信もなく


そんな未来はなく。


パタン。


扉が閉まる度


涙が溢れぬ様顏を上げる。


見上げればいつも月が儚く輝いていた。


そんな哀しく美しい恋物語。