もう面影なんて探さない

「彼女欲しいなぁ…」

そんなことを言いながら歩いてるりつ。

りつの女好きなんとかならねぇのかよ。

まぁ、俺が口を出すことじゃないんだが…。

また、くだらない世間話をしながら歩いてると女の声が聞こえた。

カッコいいとか人気だとかそんな声が聞こえる。

なんだ、またその話か。

ったく、女はそんな話しかできないのか…まぁ りつとたかしが異常にカッコいいのは分かるけど…。

正直、俺がカッコいいなんていわれてるのは信じられねぇ。

そんなことを考えながら、ふと俺たちのことを噂している女のところを見ると…

一瞬で目が奪われた。

寂しげな瞳…誰だ、見たこともない女…。

なんで、そんな寂しそうな目をしている?

助けてあげたい…そう思った。

「ん?蒼空? どーしたのさ、立ち止まっちゃって。」

「え?あ…なんにもねぇよ。」

「あ!! もしかして、あの女の子2人のこと見てたの? 可愛いよねー!! おれは左の子がタイプかな♪」

「右…」

「え?」

「右の奴なんて名前だ?」

「蒼空は右の子がタイプー? 確か遠山…えーっとね…遠山 夏恋!! そーゆー名前だったと思うよー」

遠山 夏恋…。

「あれ? 蒼空くん、もしかして一目惚れってやつですかぃ??」

「あいつの瞳が…いや、なんでもねぇよ。可愛いなって思っただけ。俺が一目惚れなんてするかよ。」

「なんだぁー。まあ、確かに可愛いよなー!」

俺はまだ知らなかった俺たちは運命の出会いをしたと言うことを。

そして、その出会いが俺たちをどれだけ苦しめるのかを…。