もう面影なんて探さない

「よし、食べ終わったしどっか行く？…っと、もうこんな時間じゃん!!　私たち超長い時間ここにいたんだね(笑)」

確かに、外を見てみるともう薄暗くなっていた。

「んー　しょーがない、帰るか!!」

会計を済まし、帰り道を２人でわいわい話しながら歩いてると

「あ!!!」

急に遙香が大きな声を出した。

「え!？」

遙香につられて、ついつい大きな声を出してしまった私。恥ずかしい…。

「もー　急に大きな声出さな「ねぇ!!あそこ見て!!」

私が言い終わらないうちに遙香はとても興奮した様子で私に話しかけてくる。

あそこ…？　遙香が指を指した方を見てみると…

イケメン三人組が歩いていた。

「え、だれ？」

「夏恋知らないの!？　イケメンって騒がれてる一年の軽音部の三人組じゃん!!
めっちゃカッコいいー!!」

「へー…。」

全然知らなかった…まぁ、確かにめちゃくちゃカッコいいな。モテるだろーなー。

「一番右!!人気ダントツトップの人だよ!!
カッコいいなー!!　ね、夏恋は誰が一番好み？？」

この人はまたいきなり…!!

「誰が一番好みか…んーここからじゃあんまり顔みれな…」

私は最後まで言うことができなかった。

三人組の１人がこっちを向いたのだ。

ドクン…胸が高鳴った気がした…。

「きゃー!!　こっち向いた!!　あの人ね、蒼空くんって言うんだよ!!　ラッキーだねっ」

へー…蒼空って言うんだ…。名前…似てないな。

「あれ？どーしたの夏恋。もしかして蒼空くんに一目惚れ!？」

「あの人、私の………。」

「え？なに？」

「んーん、なんでもない!!　惚れるわけないでしょ。噂通りカッコいいなって思っただけだよー。」

「えー、つまんなーい!!」

びっくした。あの人…あの蒼空っていう人……

私が大好きだった元カレにそっくりだったんだ。

あの日、急に別れを告げてきた大好きだった元カレ…笙麻に…。

まさか、これが運命の出会いになるなんて、私は知るよしもなかったんだ…。