夏恋side

私たちの学校は入学するとすぐ体育祭がある。

今は体育祭の練習や準備で生徒のみんなが忙しくしている。

「夏恋~!! 二人三脚の練習しよー!!」

そう、私と遙香は二人三脚に出るのだ。

あまり、目立ちたくないから二人三脚を選んだ。

だって二人三脚って人いっぱい出るし目立たなそうじゃん?

「オッケー!! 紐とってきてから行くねー!!」

「りょーかい!! じゃあ先にグラウンド行ってるよ」

「うん」

さてと…職員室に紐取りにいかないと。

ガラガラ

「失礼しまーす。二人三脚で使う紐を取りに来ました」

「おぉ、頑張ってるなぁ。持ってけ持ってけ」

「ありがとうございます。失礼します。」

よし、グラウンド向かうか!!

そう思い前を向いたらそこに蒼空がいた。

蒼空…できればあまり会いたくなかった。

何も話しかけないで通り過ぎてくれないかなー…

そんな私の願いも虚しく蒼空は私に話しかけてきた。

「あ、遠山 夏恋…じゃなくて、遠山さん。久しぶり。」

無視…ってわけにはいかないもんね。

あんまり顔見ないようにしてればいっか。

「あー…久しぶりだね。私たちの教室離れてるもんね。」

「棟が違うからね、なかなか会わないよね。」

「うん、そーだね。」

「遠山さんは二人三脚の紐とりにきたの?」

「うん、そーだよー。」

よし、あともう少しで会話が終わる。

そう思ったとき…

「夏恋…」

「え!?」

「え、あぁ… 遠山さんっていうのも他人行儀だし夏恋ってよんでもいいかなーって思って聞こうとしたんだけど… そんなに驚かれるとは。」

「あ…あははっ そーゆーことか、いいよー夏恋ってよんでも。」

びっくりした…だって夏恋って呼ぶ声があまりにも愛しげで…

しかも、声まで笙麻に似てるって反則だよ。

「じゃあ、練習がんばってね、夏恋。」

「あ…うん。ありがとね」

私は駆け足でグラウンドに向かった。

このまま蒼空と会話してたら…夏恋って呼ばれたら…

笙麻と話してる感覚におちいってしまいそうで…怖かった。