「…さゆりちゃんはさ、自分が好き?」 「え…?」 「俺は自分が好きだ」 「は?」 「自分が好き?」 「…嫌い」 「本当に?」 「外では去勢を張って、可愛く見せて、完璧にして、でも本当の自分じゃない」 「うん」 「家に帰るとプツンと糸が切れたみたいに緊張が解けて楽になる」 「……」 「自分で創ったこの状況に疲れて…こんな自分、好きなわけない」