あまりにも綺麗な声に驚いた俺はぼーっとしてしまった。
女の子はキョトンとした顔でこっちを見ている。俺ははっと意識を戻して女の子が指しているものを見た。
丸いぶら下がってるイスを指していた。俺が貯金を貯めてまで欲しかったイス。でも、結局腰が痛くなるから滅多に使わない。
「あ、うん。イスだよ。貯金、貯めたのに滅多に使わないんだ(笑)バカだよね〜(笑)」
笑いながら俺は言うと女の子はちょっと不安そうに聞いてくる。
「じゃ、じゃあ…つかっていぃー?」

その照れながら不安そうな表情に俺はきっと人生初の一目惚れをした。

「うん!使って使って!」

その日から光香のお気に入りの特等席のイスとなった。