まだ少し肌寒くて、でも空模様はとっても素敵で。
真新しい高校の制服で、沢山のまだ知らない人がいて。
その中に、君がいたんだね。



「尾崎 真奈です。趣味は絵を描くことと…あと、小物作りです。これからよろしくお願いします。」

入学式も無事終わり、お決まりの自己紹介が始まって、私は少しあがり気味だったけど、とりあえず第一の試練は突破したと内心ホッとしていた。

「素敵な趣味ですね、また機会があれば、是非見せて欲しいですね。では、次…神田さん」

「はい」

どうしてだか分からないけど、その一声になにか惹かれるものを感じ、私はふいに振り向いた。髪を二つに結って、睫毛が長くて、なんだか不思議な雰囲気な女の子で。

「神田 裕子です。趣味は小説を読むことです。…あと、可愛いグッズ集めです…。よろしくお願いします。」

ぺこりとお辞儀した彼女をつい見つめていると、顔をあげたときに目が合ってしまった。すると、彼女は少し恥ずかしそうに小さな声で

「よろしくね。」

そう、私だけに聞こえるようにいって、そして笑った。

「こ、こちらこそ。よろしくね。」

自分でも驚いた。
今までの私は、まだ会って間もない子によろしくねと声をかけられても、恥ずかしくていつも俯いてしまっていた。
顔が熱くなるのがわかった。なんだかむずむずして、落ち着かない。
でも、少しも嫌な気持ちがないんだ。

この子と…神田さんと、仲良くなりたいな。


その気持ちが私の胸で溢れかえりそうで。