黙っていると、蒼太くんはスマホで電話しはじめた。


「……もしもし、高崎蒼太です。
はい、……はい、今こっちにいます。夜までに帰しますので。
……は?帰るな?……いやお母さん、俺……え?はぁ……大丈夫ですか?………そんな変なことしませんから!…分かりました、はい…はい、じゃあ」



電話を切った蒼太くんが、
あたしのほうを振り返る。


「泊まってっていいらしい」


──お母さん、ばんざい!


心のなかで大歓声を上げるけど、蒼太くんはいい放った。


「一緒には寝ないよ」


「えー…」


「無理、俺が無理だから」



蒼太くんがベッドに寝転がり、あたしは椅子に座る。