「そんなことないと思うんだけど、ちゃんと分量計ったし・・・」 ぶつぶつと小さな声で呟いた。 流石に可哀想だからやめるか。 「なーんてな」 「え?」 俺の声で顔上げた初の目には涙が滲んでウルウルとしてた。 「美味いよ、これ」 これは本当の言葉。 初の作るお菓子は店で売ってそうなレベルくらい美味い。 「ほんと?」 心配そうに聞いてくる初。 「ほんと。お前が俺のことお菓子で釣ろうとしてたから騙したんだよ」