その人がパッと顔をあげる。 「あ、確か朝の…」 確か朝、 キーホルダーを拾ってくれた人だ… 「覚えてくださいましたか、姫。」 「あの、私姫じゃないですけど。 …てか、膝まずくのやめてください。」 「…姫。」 「聞いてます?私は姫じゃないし、 そーやって膝まずくのも……きゃっ…」 私が言い終える前にその人は、 私の左手を握り、 反対の手で腰を抱き寄せた。