『ぐううううううううううう』


地響きのような音が自分のお腹から聞こえた。

だめだ。お腹が空きすぎて寝ることすらままならない。

でも……


「面倒くさいよ……」


大きなため息をひとつついて
寝癖頭をくしゃっと一掻きして


「あうっ!!」


気合を入れるように控えめに吠えて、立ち上がる。

さっきまでグダグダしていた自分とは思えないほどの機敏さで、顔を洗い、寝癖を直し、寝間着を脱ぎ捨ててジーンズとTシャツを適当に身に着けて、財布だけジーンズの右ポケットに突っ込んで、玄関を飛び出した。


「……あ、チャリの鍵忘れた」