カランカランッ


「いらっしゃいませ」


うわぁーオシャレなお店。


こんなオシャレ店、小さい頃にあたしのママとパパとしか行ったことないよー


なんかわくわくするよー


「ひーまり?」


「ん?」


「なんでひまりは桜丘高校に来たの?」


「…えっとですね…」


何から話そう。

優梨はあたしのママとパパが映画監督と女優だって事は知ってる


「あたしのママとパパの仕事の都合だよ」


「それだけ?」


「うん…」


「ひまり、まだなんか隠してるでしょ?」


「……」


「ちゃんと話してみ?話さないとわかんないよ?」


「……」


そうだよね…


優梨は中学んときもあたしがママとパパと一緒にいれなくて寂しいときに相談にのってくれて側にいてくれたもんね…


「優梨…あたしのママとパパは今、海外にいるでしょ?あたし、高2になる前に1回ママとパパが帰って来たの。それであたしも女優やらないかって」


あたしなんかに出来ないのにね…


「でもあたし、可愛くないし演技とか出来ないからパパとママに断ったの。」


「うん…」


「そしたらパパとママはすぐに反対したの。お前がならなきゃ誰がなるんだって言われたの。それで喧嘩になってあたしは家出したの。」


「そっか…」


「……」


「でもひまりは可愛いし監督と女優の娘なら演技もできると思うよ?」


「……」


あたしだってママみたいに綺麗な女優さんになりたい。


でもそのために学校の友達と別れるなんて嫌だよ…


「ひまりの気持ちもわかるよ?転校ばっかでせっかく仲良くなった友達と別れるのは辛いよね。」


そう、優梨はあたしの気持ちがホントによくわかる。


だからせっかく再会した優梨と別れるのが怖い。


「優梨…、あたしはやっぱり女優にはならないよ」


「そっか…、ひまりが決めたならしょうがないね」


「……」


「何、落ち込んでるの?テンション上げて上げて」


「……」


「なんであたしが女子校やめて桜丘高校に来たか知りたくないの?」


はっ!それは知りたいよ


「優梨〜、教えてよ」


1回決めたことを変えない優梨がどうして女子校に行かなくなったのか、それは聞く価値ありー(笑)


「あいつがここの高校にするって言ったからだよ。」


あいつ?誰だろう?


「佐伯涼太(サエキリョウタ)」


佐伯涼太?えっ?もしかしてあの佐伯涼太?でもそんな事ないよね〜


「ひまりったら鈍感すぎー」


なっ‼︎酷いよ、優梨。さすがに鈍感ってないよー(泣)


「佐伯涼太は旧姓だから。今は桐谷涼太」


はっ⁈


「えぇぇぇぇえ‼︎‼︎」


「ちょっと!ひまり静かに」


あの優梨の幼馴染で爽やかイケメンの佐伯涼太が今のあたしの席の前の性格悪そうな桐谷涼太ぁ⁉︎


あっありえん。なんかの間違いだよ


「ひまり、ありえなくないの。あいつ親が離婚したから。」


でも性格まで変わってしまうとか…

ショックすぎる。

だってあたしの初…「初恋の人だもんね」


「ちょっと優梨‼︎辞めてよね」


ニヤニヤッ


なんだよそのニヤニヤ!それはもう昔の事じゃん


「ひまりの約束、あたしは覚えてるよー?」


「辞めてってば」


あたしは転校する前、優梨と約束した。

佐伯涼太に彼女が出来ないようにしてほしいって


ニヤニヤッ


「もーう!あたし帰る。」


「ひまり待って」


優梨のバカ!そういう事は覚えでるんだから。


はぁ…佐伯くんが今の桐谷涼太かぁ…

ショックだよ…なんであんなんになっちゃったんだろう(←失礼)