必死に言い訳をする男に。

「『メリーちゃん』というのは、バスソルトの名称を変えただけの同じ薬物だ」

倉本が告げる。

可愛らしいネーミングや洒落たパッケージにする事で買い手の警戒心を解いて売りつける。

それが売人の手口だ。

売人はその後の被害などお構いなしに、金儲けの為にあの手この手で危険な薬物を10代の少女にさえ平気で売りつける。

「環からの情報が役に立ったな」

男に手錠をかけながら、巽は呟く。

巽はとある事件がきっかけで、環と知り合い、今では交際にまで至っている。

彼女からの情報が、こうして事件解決の糸口となる事も珍しくはないのだ。