全速力のまま、曲がり角を曲がる男。

その先に。

「うわっ!」

待ち構えていた倉本が、男に組み付いて足払いで投げる!

受け身も取れないまま、道路脇のゴミ置き場のゴミの山に突っ込む男。

巽が追い付き、その男を引き摺り起こした。

「お前…ヤクの売人だな?」

「知らねぇよ!」

「後ろめたい事がないなら逃げないだろ、あぁ?」

「追っ掛けてくるから逃げたんだよっ!」

「お前があの女の子達に粉末を売ってるとこを見てんだよ。念の為に写真も撮ってあるからな。現行犯だ、言い逃れは出来ないぜ」

男の胸倉を摑み、巽は睨む。

「お前、あの薬物…バスソルトじゃないだろうな?」

「バスソルトって何だよ!あれは『メリーちゃん』だよ!俺は合法ドラッグ業者だよ!」