仁道會組長、古賀 磯継の取り調べは現在も続いている。

一週間ぶっ通しの厳しい取り調べで、強情な古賀もようやく少しずつ自供をし始めた。

警察が知りたいのは、バスソルトの流通ルートの全容。

そして古賀の口から、遂にその一部が語られ始めた。

それが東京港青海コンテナ埠頭での取引だという。

早速巽とクリスが夜間張り込んで、取引現場を押さえようとしたのだが…。

「しかし、平凡だな」

クリスが車のハンドルに凭れ掛かって言う。

「何が?」

「取引さ。コンテナ埠頭だなんて、昔のギャング映画みたいじゃないか。後ろめたい取引は夜の埠頭…12のガキだって思い付く」

あまりにも見え透いてはいないか。

クリスはその点が腑に落ちなかった。