「待たせた」

クリスが乗っている車の助手席に、巽が乗り込んでくる。

彼が手にしているのは、マックで買ってきたハンバーガーとポテト、そしてコーヒー。

「これならアメリカでも変わらない味だろ」

「サイズは多少小さいがな」

ニッと笑って、クリスは紙袋を受け取った。

「しかし」

フロントガラスに身を乗り出しつつ、巽は呟く。

「張り込みも変わったもんだよな。昔は張り込みって言やあ、アンパンと牛乳って相場が決まってたって刑事部長言ってたぜ?」

「アンパン?何だそれは」

「まぁ、菓子パンの類さ。クリスにはわからんだろ」

「ロス市警じゃ張り込みの時は、ドーナツとコーヒーだった」

「ハッ、洒落てるねぇ」