「今日は報告がてら来ただけだ…邪魔をした」

立ち上がる倉本に。

「時々そうやって報告に来てくれると助かるわ」

美奈は言った。

「……」

振り向く倉本。

その口が開く前に。

「そ、そりゃあね、無関係の人間だから…捜査上言えない事もあるだろうから。全部報告してなんて言わないけども。どんな感じなのかなって…」

「どんな感じ、とは?」

解せないといった表情の倉本。

「こう…その…あるじゃない、この時は苦労したんだとか、怖い思いしたんだとか、しんどくてキツかったんだとか!」

「…愚痴を聞いてくれるという事か?」

「…………ま、まぁ…そうとも言うかな…」

困ったように頬杖をついて目を逸らす美奈。