都内のバスソルト中毒者が、警察と自衛隊の活躍で鎮圧された数日後。

「やだ、どうしたのその顔」

歌舞伎町、美奈の診療所。

訪問してきた倉本の顔を見て、美奈は声を上げる。

左目が腫れて塞がっているのはサングラス越しにも分かったし、口許も切れているし、何より顔中に青痣が出来ている。

この分だと全身に打ち身や打撲だらけなのだろう。

「仕事上、生傷は慣れている」

「そういう問題じゃないでしょ、座って!」

こんな傷を負っているのにほったらかしなんて、どうかしている。

医者として見過ごす訳にもいかず、美奈は倉本の傷の治療に当たった。