重く、速く、硬い拳。

歌舞伎町で数多くのチンピラやヤクザを相手してきた巽と倉本さえ一発でのされてしまうほどに、古賀は剛腕だった。

喧嘩だの、武道だの、格闘技だのという上等なものではない。

それは暴力そのもの。

腕力であらゆるものを痛めつけ、捻じ伏せ、叩き伏せる。

『暴虐』といってもいい。

己よりも大きな者、力の強い者に、生物は畏怖せずにはいられない。

そういう極めて原始的且つ人間の本能に訴えかけるような戦闘手段だった。

技術とか、そういうものではない。

単純な『力』だった。