九州へと向かう高速道路。

黒塗りのベンツの一団が、一般車を威圧するように走行していた。

後方から迫ってくる車列に、一般車は逃げるように道を譲り、追い抜いて行くのを脅えるようにして待つ。

ベンツの一団、そのリアガラスには桜の花の中央に『仁』の一文字が入ったステッカー。

知る者は知っている、仁道會の代紋だ。

そうでなくとも、暴力団の看板である代紋を見せつけられて近寄ろうとする一般人は皆無であり、皆努めて関わり合いを避けようとしていた。