「それじゃあ…」

巽、クリスと共に出ていこうとする倉本の袖を。

「!」

美奈は咄嗟に摑む。

「…どうした?」

「あ、と、その…」

反射的に摑んでしまったのだろう。

美奈自身、どうしたらいいのかわからないといった感じだったが。

「き、気を付けて…ね…」

照れ臭そうに、倉本に告げる美奈。

「…ああ」

微かに笑み、倉本は頷く。

「何だ何だ、その中学生みたいなやり取りは」

巽が冷やかす。

「貴方いつもうるさいわよねっ!」

美奈が照れ隠しに怒鳴った。