新宿歌舞伎町。

『眠らない街』『東洋一の歓楽街』『欲望の迷宮都市』『外国人労働者の新租界』などと呼ばれる街。

町の中には映画館、漫画喫茶、居酒屋、キャバクラ、風俗店やホストクラブ、ラブホテル、パチンコ店も立ち並んでおり、深夜になってもネオンで明るく人通りも多い。

セントラルロードに多いスカウトやホストによるキャッチ、怪しげな客引きやポン引きなど、合法、非合法取り混ぜて歌舞伎町独特の雰囲気がある。

そんな街を、一人の男が歩く。

夏真っ盛りだというのに、黒い革ジャンを身に付けているのは、常に携帯している二挺の拳銃、コルトローマンを隠す為だ。

サングラス越しに見える眼は、常に視線を走らせている。

どんな些細な変化も見過ごさない。

彼の視線に留まった者は、決して逃げられはしない。

その眼は、さながら獲物を捉える野獣の眼だった。