「倉本さん」

GSX1100S KATANAに跨ったまま、巽が停車して倉本に声をかける。

「これ以上は車で入っていくのは無理だ。どうする?引き返しますか?」

「……」

倉本はしばし考える。

中毒者の徘徊する都内から避難するつもりが、こんな事になってしまうとは。

この近辺にも中毒者が徘徊している以上、危険なのは変わりないが、これ以上車で進めないのも事実。

「止むを得ないな…引き返そう」

狭い旧道で、何とか車を方向転換させようとする倉本。