闇の中、木々の間からこちらを覗き込み、不気味に笑う女。

「お、おい、君」

軽装甲機動車の窓から身を乗り出して、進藤が呼びかけるが。

「放っておけ」

それをクリスが制した。

「どういう訳か知らないが、こんな山奥にまでバスソルト中毒者が蔓延してるらしい…あの女は手遅れだ。下手に刺激するな」

「しかし!」

正義感が強いのだろう。

進藤はクリスに食い下がる。

「あんな格好で、こんな山奥に若い女性を置き去りだなんて…酷いとは思いませんかっ?」