「驚いたな、まさか君とこんな所で出くわすとはな」

「…刑事…さん…?」

虚ろな目で、美奈は目の前の男を見る。

診療所に負傷者を運ぶのを手伝ってくれたあの刑事…名前は倉本だったか。

彼とこんな所で出くわすなんて、美奈自身も驚きだった。

もう助からないと思っていたのに。

「話は後だ」

倉本は美奈に肩を貸す。

見れば彼女は裸足だった。

ずっと素足で逃げ続けていたのだろう。

穿いている黒のストッキングは破れ、足の裏がボロボロに擦り剥けて出血している。

そんな彼女を抱き上げる倉本。

「巽、クリス、彼女を避難させる!援護を!」

「任せろ!」

「役得だな倉本さん!」

軽口を叩きながらも、クリスと巽は中毒者達に発砲を続け、倉本の背中を守る。