ベランダの手摺りから身を乗り出し、更に乗り越える。

3階とはいえ、見下ろせば目も眩むような高さだ。

下はこのマンションの駐車場。

当然地面はアスファルト。

数台の車が駐車してある。

落ちればよくて骨折、頭から落下しようものなら命の保証はない。

美奈とて好きで、こんな綱渡りじみた真似をしている訳ではない。

しかし。

「っっっっ…」

窓から手を伸ばし、美奈を捕えようとする中毒者。

彼らに捕まって肉を食まれるか、身の竦むような思いをしてベランダの手摺りを伝うか。

生き延びたければ危険を冒すしかなかった。