現在、警視庁組織犯罪対策部と、厚生労働省の麻薬取締部が、日本での広がりを最も恐れているドラッグのひとつが『バスソルト』だ。

日本のいわゆる危険ドラッグは、アメリカでは『デザイナードラッグ』と呼ばれる。

『成分をデザインしたドラッグ』という意味だ。

バスソルトもそのひとつで、2010年からアメリカで広まったが、その存在に全米が震撼したのが、12年5月のいわゆる『マイアミゾンビ事件』である。

マイアミからマイアミビーチへ向かうハイウェイの途中にて、ルディ・ユージーンという青年が、ロナルド・ポッポという浮浪者を襲う事件が発生。

全裸の加害者が被害者の顔面を食すという猟奇的な状況だった為、駆けつけたマイアミ警察の警官によってユージーンはその場で射殺された。

後に、付近の防犯カメラで撮影された、ユージーンがポッポの左目を含む顔の大部分を食してゆく様子が収められた18分間の動画が公開され、ユージーンは『マイアミゾンビ』または『コーズウェイの食人鬼』と呼ばれて全米を震撼させた。

そして警察サイドは、ユージーンはバスソルトを吸っていたらしいと語った。

実はこの後、ユージーンの体内からバスソルト成分は検出されず、確認されたのはマリファナ成分だけだったが、マリファナだけでこれほどの凶暴化はあり得ないと専門家から指摘が続出し、今も議論中だ。