この本を読む前に、約束してほしいことがいくつかある。


1.この物語の最後に僕と君との秘密の楽園を見つけることができたなら、その場所は誰にも言わないと約束して欲しい。


2.決してその扉に鍵を掛けないこと。いつだって開けておいて欲しいんだ。


3.変わりに僕の秘密も開けておくことにするから、楽園の在処は探したりしないこと。探すと見つからなくなって面倒だからね。


守って欲しいことはこれだけ。

難しいことは何一つないはずだ。

もし、これが守れないなら、ここで読むのをやめて、永遠に君の本棚のホコリを被ることになっても、僕は平気。

残念ながら、決して明るく愉しいだけの物語じゃないから。

でももし、それでも君が僕の話に耳を傾けてくれるなら、どうか途中でやめないで、最後まで不器用な僕に付き合って欲しい。

これは互いの絆の為に。

さて、準備が出来たら出発だ。

恥ずかしがる必要なんてない、ここは僕たち二人だけの約束の場所だ。

君を邪魔するモノは何もない。

だけど・・・僕が案内できるのは入口までだからね。


1つ目のページの鍵 “心構えの鍵”は、もう君の手の中にあるはず。

僕は一足先に楽園で待っているよ。

いつまでも。

二人だけの、秘密の楽園で―。