家の者に迷惑を掛けるわけにはいかない。
お荷物になどなりたくはない。
そのために自分がすべき対応など重々承知。
だが
「顔を、見せてはくれないか?」
その柔らかく紡がれた声に、またずくりと酷く久保姫の心の臓が疼いて。
駄目だと制する理性とは裏腹に、体は勝手にその顔を上げていた。
「…あ、」
逆光に目が慣れてきて、少しずつ声の主の姿がはっきりしてくる。
そしてその先に見えた姿に、久保姫の全身が跳ね上がった。
一瞬奪われてしまった呼吸。
ドクドクと速さを増す鼓動。
一気に熱を帯びていく顔。
(…そんな…まさか…)
あるわけない。
しかし彼女は、彼を知っていた。
目を細めて微笑む太陽の姿を。
「やはり、あの時と変わらず愛らしいな」


