SPEED LIFE

「すいませーん。浦塚杏都っている?」

教室の前のドアから顔を出す先輩。

「杏都なら今はいません。えと多分裏庭に。」

応えたのは咲だ。

「ああ、この前の。ありがとう。」

お礼を言って先輩は出ていく。

「あ、いた。」

「あ、えっと、花城先輩。どうしたんですか?」

びっくりだ。
花城先輩が私を探しに来た。

「いや、生徒手帳。俺お前のやつも一緒に持ってっちゃって。はい、浦塚杏都。」

「あ、ありがとございます!!!」

ぺこんと頭を下げる。

「隣、座っていい…?」

「あ、はい。汚いですけど…。」

花壇のコンクリートの部分に腰掛けていた私は少しだけ寄った。

「わりわり。」

わ、近…てかなんでここ座ったんだ…?

「あの、先輩。生徒手帳ありがとうございました。」

「いやいや、間違えて持ってったの俺だし。てか、お前この前俺の生徒手帳頭におっこったろ?怪我しなかった?」

「あ、大丈夫です、あれくらいじゃ…。」

「だよな。あれで怪我したとか言われても俺も困るわ。あれで怪我したらどんだけ頭弱いんだよってな。」

「っはははは。それですね。先輩おもしろい。」

なんだかおもしろい先輩だな。

「お前よくここくるの?」

「あーうん。悩んでる時とかね。」

「悩んでるんだ。」

「まあ若干ですけどね?」

「お?恋の悩み?」

「違いますよ。好きな人できないし。ふふ。」

先輩の目が急に真剣になった。

「俺のこと好きになる?」

え…?

先輩を見つめ返す。

ドキドキは止まらない。

「なーんてなっ。はは。」

ニコニコっと笑ってキラキラっと振りまいて花壇からジャンプした先輩は大きく手を振って帰っていった。