「ねえ、何時からここにいるの?」 「ついさっき」 「ふーん」 答える間も篤希は目を閉じたまま。 「目、開けてよ」 「…眠い」 蝉の声が私達を包み込む。 私は篤希にかまってもらおうと、服の裾を引っ張ってみた。 それでも反応しない。 さらさら風に揺れている篤希の髪に、手を伸ばした。 ふわふわしてて、柔らかい。