休みの日に、家から割りと近い大型の家具屋に出かけた。
この家具屋は生活用品がとにかく充実していて、よく利用している。
3月に入ってもまだ春の空気はあまり感じられず、首元が寒い。
違う意味ではすでに、春は訪れているのかもしれないが。
店内に入り、ランプや照明のコーナーに向かう。
気のせいかもしれないが、光の熱で他のフロアよりも暖かいような気がする。
背の高い照明や、ちょっと変わった形のものが並ぶ中を通り抜けて、小型のものがたくさんある奥のほうへ行く。
買うつもりのものは、ベッドサイドにつけられて、コンパクトなものがいいだろうと思ったからだ。
いろいろ迷って、購入するのに決めたのは、
白い筒状にうっすらとレースの柄が入っているもの。
オレンジ色のランプが可愛らしく、華やかに見える。
これは彼女へのプレゼントだ。
もうすぐホワイトデーであり、お返しを何にしようかと考えていたときに、
寝室のランプが壊れてしまったと言っていたことを思い出したのだ。
きっと喜んでくれることだと思う。
ランプを買えたら、他のものを買う気はなかったのに、
事務所のパソコンのコードをまとめるフックだとか、
腰が痛くならないクッションだとか、
そんなものを衝動買いしてしまった。
まるでビルのように大きいこの家具屋の最上階にはフードコートが入っている。
少し休憩しようと思い、エスカレーターで上へあがる。
特別な連休でもないのに、いつもより店内が混んでいる。
4月からの新生活に向けての買い物だろうか、なんて考えていた。
エスカレーターを降りた目の前のコーヒーショップは満席のようだった。
家族連れや落ち着いたカップルらが席を占めていて、違う店に行こうと振り返ったとき。
「ここ、座ってください」
横から声が聞こえて見てみれば、一際大きいこの家具屋の紙袋をカウンターの椅子から下ろす青年。
一見派手な見た目なのに、謙虚な姿勢でどうぞ、と言ってくれた。
「ありがとう」
「とんでもないです。俺が荷物置いてたから」
青年は人懐っこい笑顔をしていた。もう成人しているだろうけど、どこか少年のような。
青年がお勧めしてくれたカフェラテを頼んで飲みながら話をして、
いつの間にか青年とは仲良くなっていた。

