大切な君に

「お母さん…最悪。」









あたしはそれだけを言い残し、病室を出ようとすると…








「ダメよ!!
行かせないわ!!
あたしはあなたが大切なの!!
もうケガなんてさせたくないのよっ!!」









そう言ってお母さんはあたしの腕を掴んだ。










「違う。
分かってないよ…お母さん。」








「何が…?」












「和希の痛みは……
和希の苦しみは……
和希の悲しみは……」











あたしは、下を向いていた顔をあげて、お母さんを強く睨みつけた。









「こんなものじゃない……。」