「よ、よろしくお願いします…?」
「言ったな?」
「言いました!」
「言ったな?」
「言いました! 先輩も、逃げたらダメですからね?」
「カッチーン! 俺怒った! 明日は陽香が泣こうがわめこうが絶対抱いてやるからな!」
「挑むところです! 煮るなり焼く好きにしてくださーい!」
庵藤深月。
我が弱小吹奏楽部を引っ張る、俺様部長様。
何でもどこからでもかかって来い! の完全無欠のマスターピース。
唯一の欠点は、女性らしい名前。
そんな彼は、わたしの恋人。
彼の諸事情で練習後に幾度となく繰り返した秘密の逢瀬。
その甲斐もあり、明日は初めてのデートにして、初めての……。
考えていることがメチャクチャで俺様だけど、わたしはそんな俺様彼氏様が大好きなんです!
キラキラ輝くわたしの恋。
今日もまた、ほんのり淡い桃色に染まってゆくようです。
─END─

