私がそう呟いたとき、ふと誰かに包まれたような感覚があって。 あ、瑞樹が私を抱きしめてるんだって思った。 瑞樹はきっと、“うん”っていいたいんだって思った。 「瑞樹…ありがとね…」 そして私はある言葉を伝えたくて顔をあげてしまった。 「ねぇ瑞樹…っ」 その瞬間、誰かに抱きしめられたような感覚はなくなって。 ただ私は前に進もう。そう思った。