「高浜様、どうかされましたか?」 眼鏡をかけた歳のいった男教師が、彼の気をうかがうように尋ねてきた。 ボディーガードは口を慎み、彼の言葉を待つ。 「別に。」 彼は繋がれたままの手を眺めながらすかさず返答する。 「そうですか…。」 男教師は、彼の視線の先をたどりながら彼女の方に目をやる。 「きみ、手を離しなさい。高浜様に失敬だろう。」 何をどう解釈したのか、男教師は静かな声で彼女に注意した。 「え、あ、はい。」 彼女はなぜ注意を受けるのか疑問のまま、手をパッと離した。