どこを探してもインターホンというものがなかった。
これじゃあ、中に入ることができない。
「う~ん…あっ、」
僕は改めて大きな…天まで届いてしまいそうな門を見上げ、また下に視線を戻そうとしたとき、目の端に紐が写った。

茶色の頑丈そうな紐は、上の鈴に繋がっていた。
「……これを…鳴らすの?」
僕はこの家だけ遥遠いイギリスとかの時代にあるんじゃなかと思った。
執事やら、インターホンはなくて、呼び鈴とか…おかしいでしょ…もしかして、中もおんぼろなのかも…。
などという不安な考えが頭をよぎった。

そして、呼び鈴を鳴らす。
シャララララ……ン
綺麗な涼やかな音が鳴った。見た目と違って意外といい音だった。