足りないものを補える場所…。


えっ?!まず、僕が驚いたのはそこだった。いや、初めてあったし、そこまで情輝様のことがわかってるわけじゃないけど、滅多に泣かなそうで偉そうにむすっとしている子だと思っていたから…。

近づこうか、近づかまいか。僕は暫くそこに居たと思う。20分近く。それまで情輝様を見つめながら考えていたんだけど、時間がたっていないのではないかと思うほど、情輝様は身じろぎひとつもしていなかった。ただ、ひとつ変わっていることと言えば、ポロポロと水晶の玉のような透明な涙が落ち続けていることだった。
身じろぎもせず、声もださず、ただただ静かに涙を流す。それは神聖な女神にも見えた。

チヂヂッ…フッ…
これまで炎を灯していた蝋燭が消えた。
微かに焦げた匂いがあたりを漂いはじめる。すると、その匂いで情輝様がこちらを向いた。