それでも僕は安心してフッ、と体の力が抜けた。ガクッと膝から落ちる。
怒音さんにそのまま掴まっていると、
「離してください。」
バッ!と手で払われた。ちょっ、病人でも怪我人でもないけどもう少し丁寧に扱って欲しい…扱って欲しいはおかしいか。
「さっさと部屋に入ってください。」
ドカっと押されて中に入った。そうすると、黒いズボンに白い糸がついた。
「うわあっ!」
思わず悲鳴をあげて、今度は声にならない悲鳴をあげた。真横を蜘蛛がかさかさと通っていったのだ。オレは腰を抜かして後ずさりしてしまった。
そうすると、怒音さんがオレの背中を押した、いや蹴った。
「に、げ、る、ん、で、す、か?」
怒音さんはこれもまた綺麗で怖いほどの笑みを浮かべていた。
に、逃げられない…!!てか、この虫と埃と蜘蛛の巣がある部屋に住めつてことなの?!


