【情輝と怒音のふたり言】
ーコンコン
「情輝様、入ってよろしいですか?」
「暗号。」
「……はあ。【蒼き薔薇の名のもとに月の雫と太陽の光は誓います。】」
「はいれ。」
「失礼します…。今朝はこのあとおやつが来る為、少なめにさせていただきました。今朝の朝食はホットケーキに甘い蜂蜜をかけ、クロテッドクリームを添えました。紅茶は甘いミルクティーにしました」
「う。」
情輝は一文字返事をして紅茶に手をつけた。そのあと「あつっ!!」と手を瞬間引っ込めたあと、服の袖で取っ手に触り、一息ついた。まるで猫みたいだ。
「情輝様、なぜあの少年を?」
怒音は一段落ついたあと、そう言った。
「……ふぅ。足りなかったからだ。」
「それはアイツでも足りなかったじゃないですか。」
「…怒音はいちいちうるさいなぁ。静かにしてたまえ。」
「………。もお。」
「…運命だよ、怒音。そんなものがこの世にもあるのだ。」
ふぅ。と、情輝がニヤリといった。