「契約書類を持って来い。あと、ペンとインク。早く。」
情輝様は顔を赤らめながら、だけどそれを悟られないようにか、厳しい声で言う。
「了解です。」
怒音さんはシラッとそんなことにまるで気づいていないみたいなきりっとした顔でそう言うと、カチャンッと扉を閉めていった。だけど閉める瞬間、「クックックッ」
という怪しい笑い声が聞こえた。
情輝様は、カァッッッともっともっと顔を赤らめたので、僕は情輝様が熱を出してしまったのではないかと心配したほどだ。
1分足らずで怒音さんが戻ってきた。
サッと情輝様の前に書類の紙と、硝子の中に入った瑠璃色のインク、そして羽ペンを渡した。情輝様はさらっと何かを書き記したあと、僕に書類と羽ペンを渡し、
「さ、さて、君。こ、ここに名前を書きたまえ。」と、言った。
「はい。」
受け取ると、まず名前を書く欄を探す。
………いよいよ、この書類に名前を書いたら、僕の運命がきっと大きく変わると思う。でも、これはいつも流されている僕が自分から誓って、自分から決めたことなんだ。"情輝様を信じさせる”…


