沈黙。
和哉さん何も話してくれない。
どうしたんだろ。
「......男」
えっ?
男?
「さっきの男は誰だ?」
さっきの男?
近藤さんの事かな?
お見送りに行った時にすれ違ったもんね。
「さ、さっきの方は、近藤さんって言う方です。たまに来てくださるんですよ」
駄目だ。
さっき告白されたばかりだからかな?
近藤さんの話になるとまともに和哉さんの目を見て話せない。
「それだけ?」
えっ?
「それだけか?それだけなら俺の目を見て話せるだろ」
や、やばい。
完全にバレてる。
ど、どうしよう。
「.....春は.....春は、あの男の事が好きなのか?」
えっ?
私が近藤さんの事を好き?
何で?
たしかに近藤さんは優しいし、いい人。
好きとは.....違う.....
「.....こ、近藤さんはお客様です。それ以上の感情はありません」
そうだ。
私にとっては近藤さんはお客様なんだ。
きちんと断らないと。
「.....そうか。春にとっては客か.....相手はそうは思ってないようだかな」
えっ?
なんでそれを?
和哉さんは何で知っているの?
「.........」
どうしよう。
何も言えない。
「失礼します」
黒服が席へと来た。
「お客様申し訳ございません。閉店の時間となりました」
そっか。
和哉さん来たのが遅い時間だったから。
少ししか一緒にいられなかった。
もう少し一緒にいたかったな。
ギュッ。
ドキンッ。
えっ?
和哉さん?
手、握られてる。
ドキドキする。
でも、どうしたの?
「春、ちょっと付き合え」
えっ?
付き合えって。
「ちょ、ちょっと待って下さい」
「30分でいい。付き合ってくれ」
強引。
でも嫌じゃなかった。
「は、はい!」
ドキドキする。
でもまだ和哉さんと一緒にいられる。
嬉しい。
