和哉side


はぁ〜疲れた。
仕事帰り、いつもなら迎えを呼ぶ所を今日は断った。
飲みたい。
そう思い歩く。
どこに行きたいわけでもない。
ただ飲みたかった。

いつもならBARへ行き少し飲んで帰る。
これがいつもの行動パターン。
しかし今日はそんな気分じゃない。

ふと目線を横へやる。
お城のような扉。
いつもなら気にも留めないだろう。
しかし今日の俺は違った。

よし！ここで飲もう。

扉が開き足を踏み出す。

「「「いらっしゃいませ」」」

煌びやかな店内。
ゴージャスなシャンデリアが天井で揺れていた。

「「「キャー」」」

「「「イケメン」」」

またか。
和哉は女の子にキャーキャー言われるのが苦手。というより嫌いだ。

やっぱり来るんじゃなかったかな。
と思っていると
カツカツ。
ヒールを鳴らす音。
ふとその音のする方向へ目を向けると
ドキンッ。
胸が高鳴った。

なんだ？
なんでこんなにドキドキする？
始めてだ。

ふと目が合う。

スラッとした長身。
綺麗な栗色の髪。
ぷっくりとした唇、パッチリとした二重の目は吸い込まれそうなほどだった。

ゴクンッ。
唾を飲み込む。
話したい。
なんだこの気持ち。