私の家では、お母さんが忙しいから平日はほとんど私がご飯を作っている。

「ううん。ちょっと仕事が早く終わったから。それに今日は、」

“あなたにとって大切な日でしょ?"

お母さんはそう言って悲しげに微笑むと「いただきます」と言ってご飯を食べ始めた。

お母さんも知っている。
ユキノ先輩のことも、紅里のことも。

普段は仕事が忙しくて、なかなか家にいないけど、家にいるときにはずっと二人の話をしていた。

私が昔イジメられていたとき、ユキノ先輩は救ってくれた。
紅里もずっと側にいてくれたけど、やっぱりユキノ先輩の存在はとても大きかった。

そのことも、お母さんは知っている。