どうして? なんで?
龍一の夢だから?
やりたかったことだから?


自転車を押しながら、ゆっくり、ゆっくり歩く。
家まで、あと少しなのに、なかなか進まない…。


今日は、トモの親のこと、龍一のこと…。
なんだか、くらくらするよ。
帰りたくないな…。


笑顔で、頑張ってとか、行ってらっしゃいって、言うべきなの?
…無理だよ。
今の私は、そんなこと言えないよ。
ひとりにしないで。
お願いだから…。


その夜は、龍一からのメールはこなかった。
私も、メールしてない。
会えた日は、いつもメールしてたのに。


夕飯も、ろくに食べないで、自分の部屋に閉じこもって、携帯を握ってた。
龍一からの気持ちを待ってた。
ドキドキして、なかなか眠れないから、遅い時間だと分かっていながら、涼子にメールしてみた。
どうしたらいい?
苦しいよお、涙が、とまんないよ。
家でも、ひとりみたいな感じだし、学校でだって…。
やっと守ってくれる人に、出会えたと思ってたのに。
ずっと、今の関係を続けていきたい。
でも、ついて行くこともできない。
もう、ひとりは嫌だよ。
信じられる人に、巡り逢えたのに。


涼子に、龍一のこと、今の気持ちを、ぶまちまけた。



涼子からの返事は、思ったより早かった。


明日、うちにおいで、って。


涼子に会うのは、久しぶりかもしれない。
補習なんか、もう行かない。
勉強なんか、手につかないよ。



やっぱり、龍一からメールはこない。
いつから、決めてたんだろ。
私のこと、好きなのかなあ…。


日付が変わっても眠れない。
もう少し、起きていよう。
どうせ、寝付けないしね。


もしかしたら、龍一から、メールが…。


涙が、でちゃうよ。
胸が苦しいよ。


お願い、龍一…。


龍一…。