【短編】初恋は、ほろ苦く




かっこいいところを見せたいと思ってたのに。




俺、少し近づけたかもなんて一人で勘違いして……。





すっげぇ、かっこ悪ぃ……。





くるっと背を向けて立ち去ろうとする俺の腕を、千花が掴む。




「こ、琴音くん!待って……」




そんな千花の腕を振り払う。





「やめろっ……さわんなよ……俺、今すっげぇカッコ悪い……」






悔しかった。

俺が、千花の特別じゃないことが。




悲しかった。

年下に見られていたことが。





カッコイイところを見せたかったのに、どうして、カッコ悪いところばかり見せてしまうんだろう。





だけど、それでも頭の中は千花のことばかりだ。





……バカだな、俺。




こうなって今更、本気で千花が好きだってことに気づくんだから。





ずっとポケットに入れていた飴を取り出す。



初めて千花に会った時にもらった、コーヒーの飴だ。




こんな小さな飴を食べずに大切にとっておくなんて……。



それほど千花が好きだったんだと、自分で笑えてくる。