次の日、俺はまた昨日と同じように彼女を待ち伏せた。
そして、同じように、彼女は一人で現れた。
「ねぇ」
俺が呼び止めると、彼女は「また?」っていうような顔をした。
でも、そんなこと気にしない。
「もうもので釣ったりしない。少し話がしたかっただけなんだ……」
話だけなんて、こんなんじゃ乗ってくれるわけねぇよな……。
「うん。いいよ」
やっぱ、無理だよな……。
……え?
「いいよ、どこで話す?」
マジ、で?
彼女の顔をみると、彼女は俺が一番見たかった笑顔を、俺に向けてくれていたんだ。
話がしたいって、言っただけなのに。
それだけなのに、笑ってくれた。
「まだ自己紹介してなかったよね?あたし、宮野 千花っていうの。君は?」
ちか、っていうのか。
「俺は、東城 琴音」
「琴音君ね!覚えた!よろしくね」
またニッコリと笑う千花に、俺の胸が鳴る。
それから一緒にカフェで話をした。
学校のこと、友達のこと。
ほんの15分くらいの短さだったけど、楽しかった。
少しは、近づけたのかな。
そして思ったのは、もっと笑顔にさせたいってことと、
年下だけど、カッコイイとこもあるんだぞってことを見せたいということ。
もっと彼女のことを知りたい。