「どこへ行くのかな」
陸の母親の体が弓で弾かれた様にびくりとなった
空気が張り詰めたのが幼い三人にもわかった
「吉田くん、どうやら私は、君が私の考えに理解のある者だと思い違いをしていたようだ。」
恐る恐る彼女は後ろを向いた
そして子どもたちを守るように自分の後ろに移動させる
「教授...」
よく知った男がそこには立っていた
その男の隣には、妹のように可愛がっていた怜香(れいか)の姿が。
怜香は目を合わせず俯いていた
彼の目を見て彼女はごくりと唾を飲み、拳をぐっと握る
「いいえ私はあなたのその忌まわしい実験に反対です。もう犠牲は出したくない。ましてや私の大切な友人たちの子まで巻き込むあなたには、これ以上!」
潤んだ瞳で彼女は彼を睨みつけた
「犠牲なくして成功は成り立たない。この世には目に見えなくても確かに”秩序”というものがある。幸せが誰かの不幸せの上で成り立っているように、生命の死と生は互いに均衡を保ちながら存在する。そうやってこの世は存在しつづけてきたのだ。」
目の前の荒い彼女を優しくさとすように、
男は自分の主張を断言する
